中国南方の食

2004年夏、留学が終わり、習った中国語を駆使しながら、中国の南方を食べ歩く。

南京

南京の町並み、南京は中国3大釜戸と言われるくらい暑い場所として知られている。そこに夏に行ってしまった。付け加えるなら、3大蒸釜戸であろう。そのくらい湿度が高い。夜になると人々は市の中心の川辺へくりだす。

南京の伝統料理の数々、上海や南方は小皿で出してくれくので、色々楽しめる。中心にあるのが、南京の北京ダックとも言われている塩煮鴨、暖かいうちが美味しい、さめるとかたくなる。
 南方はザリガニ料理が有名、特に最近ブームらしく、各地にザリガニ料理店を見つける。路上で料理しているものは少し遠慮したい。生きたままのザリガニの足を店の姉さんがはさみでザクザク切っている。ちょっとかわいそう。
 南京のザリガニスープ、唐辛子や香辛料、香菜がきいて、まるでタイのトムヤムクン。このとき初めてザリガニの濃厚なスープの美味しさが理解できた。蝦よりも美味しい。ザリガニは手でつかみ殻を持ち上げはがしてミソをずずっとすする。

蘇州

 蘇州は水路の町、白壁の家を残し、非常に美しい町並みを残している。天に天堂あれば地に杭・蘇(地上の蘇州、杭州は天の天国と同じくらい美しい。と言われてきらくらいである。
 観光名所や観光客の来る主な水路は美しいが、庶民の住む居住地(合同)の水汚染は深刻、ゴミ回収船ががんばるが。
 
蘇州名物、蒸し肉に赤い甘ダレをかけたもの。美味しいのだが、少し甘みが日本人にはきついかもしれない。つけあわせのなめことキュウリの和え物はさっぱりして美味。
蘇州には多くの美しい池を持つ庭園があり。中に茶室がある庭園も多い。そういう茶室で2胡や琴の演奏を聞きながら庭園を眺め、旅の休憩をするのが好きである。

蘇州は緑茶、ジャスミン茶などの産地でもある。ある茶屋で茶のデモンストレーションを見た。茶器の扱い、茶やお湯をこぼす方法など、非常に大胆。日本人から見ると粗暴にも見えかねない作法だが、茶と茶器を知り尽くしている自信がそうさせているのだろう。

杭州

杭州に西湖あり。街の中心にある湖、その周りに美しい庭園や公園、レストラン、寺が点在する。一周歩くことも、船で点々と回ることもできる。夕暮れどきになると、人々がすずみにぞろぞろと集まってくる。最近は外国人も好む高級バーなどもできてきた。

右写真、西湖の淡水魚の黒酢味ソースかけ。魚は泥臭みが無く美味。酢が少し強いように感じる。酢と言えば、中国人は料理によく酢をかける。食堂のテーブルには醤油は無くても、酢は必ず置いてある。
 西湖の西端、バスで20分の所に龍井村がある。中国緑茶の有名ブランドの一つ龍井茶の産地である。村は盆地状になっており、丘の斜面いっぱいに茶畑が広がる。
 知り合った茶農家の庭先で茶の試飲をさせてもらう。まさに摘み取りから、乾燥、揉む作業まで、家族で行っているらしい。キロ単位で買い込む。一部は日本へ発送、一部は旅をしながら飲み続けた。やはり直接産地に行って農家の人と話をして買うのは北京の茶屋で買うのとはまた違った喜びがある。

紹興

杭州から高速バスで一時間の距離の小さな町。紹興酒の産地として有名だけではなく、中国の文豪・魯迅の故郷としてもよく知られている。また、ここの臭豆腐も有名である。弱発酵をおこすまで寝かした豆腐を油で揚げて豆板醤のタレをかけて食べる。揚げたてのそれと紹興酒の組み合わせは最高。
この街は臭豆腐の香りがたちこめている。
 紹興酒は庶民の飲む一ビン100円のものから000円以上する10年ものまである。老酒と呼ばれる熟成させた高級なものには角砂糖は絶対に入れない。
 左、紹興酒博物館。無料。一階が瓶の工場、伝統的酒造り道具の展示。2階は紹興酒文化の紹介。お勧めの博物館。
 川の側にたまたま見つけた茶館。行き交う船が見える。この茶館は一部屋借り切っても部屋代はかからず、しかも一杯の茶500円ほどで、右写真のような茶菓子が山のようについてきた。これだけ出れば昼食並である。北京でもこれだけのサービス、環境の茶館はなかなかない。ちなみに茶菓子の定番はひまわりの種、日本ではハムスターの餌だが、中国ではこれをゆっくり割りながらなかをほじくって食べる。究極の暇つぶし茶菓子である。中国人はすごいスピードで歯の間で殻を割って食べる。

上海

 上海は毎日発展を続ける街。中国の伝統的な町並みを残すのはここ豫園付近しかなくなてきた。私が買ったのは上海名物の薬用老酒、咳を止める甘い砂糖菓子などなど。さすが健康の国、中国と思える珍しい食品類がある。
右写真は上海名物のひとつくりや木の実をふんだんに使ったとろみ餡をかけたラーメン。そういえば同じような栗や木の実を使った縄文ラーメンなるものを三内丸山の縄文遺跡の食堂で食べたおぼえがある。
上海の国立博物館前の公園で涼みながら歩いていたら、地下に食堂を発見。生演奏があり、午後、公園に散歩に来た地元の老人たちが集まっている。地元のとてもよい雰囲気がただよっている。料理も安い。テーブル代ももちろん無し。まだこのような穴場が上海にはいくつ残っているのだろう。

有名な上海バンド・川岸の夜景。一番奥のホテルが有名な平和飯店、日本人客も多い。ここのバーでは夜になると老人バンドによるジャズ演奏が始まる。上海オリジナルカクテルあり。

西安

 西安はシルクロードの出発点、そして到達点として、海の交易が中心となるまで、国際都市、異文化が交流する街として栄えた。現在はビルの立ち並ぶ近代都市に変わってしまったが、街の中心鼓楼の裏、清教イスラム寺の周りはいまだ異国情緒、バザールの雰囲気を残す。左写真、鼓楼は定期的に太鼓の演奏が行われる。
右写真;西安の名物、包子、やはり羊肉を注文したい。中は汁がたっぷり。少し小型で丸型。
左写真;清教イスラム寺付近の夜の屋台。羊を使ったイスラム料理屋台などが並ぶ。これは羊串、西安でここが一番私の好きな場所である。時代が変わろうとも、昔シルクロード全盛期の時代からこうやって人々は路上に集まり食べてきたのだろう。
 右写真;イスラム料理の羊肉のスープに硬いパンをちぎって浸しながら食べる不思議な名物料理。たぶん食料の無い時期、保存食を食べる手段であったのだろう。