ドミニカ共和国

 ドミニカ共和国、とにかく綺麗なビーチと安全な国というのが気に入りました。メレンゲやバチャータといったラテンダンス音楽が発祥した国ということもあって、一日中音楽が流れています。ちょっとしたバーや市場の端の店で盛り上がってくると人々が踊りだします。
 首都サントドミンゴにも新大陸最古の都市部が残っており楽しめます。
また、地方に行くと庶民のディスコやカリブのビーチがいいです。人々も気さくです。何よりも他の中米諸国やジャマイカに比べて安全なのがいいですね。夜中でも一人で歩けるくらいです。
 ジャマイカの隣国にあって、芋系の食材を使うところは似ていますが、使うスパイスは全く違います。中米諸国のようなタコスやトルティージャも無く、一種独特なカリブ料理の国といえるでしょう。

サント・ドミンゴの港には今は多くの大型観光クルーズが到着する。砲撃台はここの町を外的から守る重要なポイントであった。
 塩漬けバカラオ(鱈)のトマトの炒め物、味付けにサソンという調味料を使っている。日本の醤油のようにドミニカでは馴染みのある調味料。バカラオも昔はヨーロッパ人が魚を食べたいので本国から塩漬けにしたのをここまで運んでいたのが習慣として残ったらしい。魚を好まない国が多い中米に比べ、非常に興味深い。
MUSEO・DE・JAMON(ハムの博物館)その名のとおり入ったら天井一杯に吊るしてある生ハムが目に付く。きちんと肉汁が垂れない様に受け皿もついているところに注目。全てドミニカ産。生ハムを1年熟成させるには、湿気や温度の管理が非常に難しい。スペイン以外に作られている国は数少ない。だから高級品となっている。ドミニカ産はスペイン産に比べ少し塩辛く硬めのような気がしたが、非常に美味しい。ビールにも赤ワインにも会う。残念ながらドミニカ産のワインは無いが。ここの店では夜にフラメンコ・ショーを時々催す。
民族料理店コヌコにて。
ここはドミニカの代表的な料理を出している。左の写真はcomida bandela(国旗色の料理)、ドミニカの旗の色のように3種類の料理のセット。アビチュエラ(黒豆のスープ)、ライス、鳥の炒め煮。
ドミニカでも他のラテンの国と同じで鶏肉が好まれる。庶民の食事だ。

ここのレストランでは毎晩、バチャータやメレンゲなどのドミニカのダンスのショーがある。伝統的なタンボール打楽器の演奏もある。客も混じって一緒になって踊ってもOK
ドミニカはカリブの美しい海でも有名。海沿いに行けば新鮮な魚が食べられる。ビールはプレジデンテが国民酒、ピルスナー系で味も濃くもあり美味しい。
右は魚のココナッツ煮、香味野菜と一緒に煮込んだ後にサソンが加えられる。ここにレモンとナンプラーをかけるとタイ料理になりそうだ。
旧コロンブス官邸。コロンブスとその息子ディエゴが住んでいたらしい。外見は質素だが中はスペインから持ってきた豪華な家具類で飾られている。

博物館にあったサトウキビの絞汁機、上の棒を牛や奴隷に回させて、ローラーで潰し、下の穴から出た汁を桶で受け取った。それを釜で煮詰めて砂糖を作った。当時砂糖は値崩れしない世界商品としてヨーロッパでもてはやされた。そして、富める者はさらに富み、貧しいものは労働者階級、そして新大陸では黒人奴隷が搾取されていた。
すでにグローバリズム化による貧富の格差は16世紀から始まっていたのである。


コロンブスと新大陸とドミニカ共和国

 ここドミニカ共和国はカリブの青い海があり、メレンゲやバチャータといった踊りが発祥した国で、一日中音楽が掛かって、市場やビーチで人々が踊っている陽気な国です。
 15世紀末、コロンブス(colon)はリスボンを出航し、黄金の国「ジパング」を目指してカリブの島に辿り着きました。そしてそこをインドと確信し、西インド諸島と名づけました。その後、ここドミニカ(当時イスパニョーラ島)に到着、ここの原住民カリベ族が金の装身具をつけていたことからここをジパングと勘違いしました。その後コロンブスはここを拠点に各島に金を求め足を伸ばしますが、現地人との争いや食料不足、病気などから大部分の部下を無くし、統治もできず、失脚します。その後彼の弟や後継者によりここにサント・ドミンゴ(現在ドミニカ共和国の首都)が築かれました。新大陸最古で最大の都市でした。現在でも城壁や要塞などが旧市街に残って当時の繁栄がうかがわれます。コロンブスが失脚、死去した後、遺言どおりここの礼拝堂に遺体が収められました。
彼を新大陸の発見者として英雄扱いしてきたのも近年疑問の声が出てきました。それはヨーロッパ的な考えで、原住民からしてみれば新大陸への到達者であり侵略者であったのです。その後、カリブの先住民は絶滅させられ、その代わりの労働力としてアフリカ西海岸より黒人が奴隷として連れてこられたのです。現在でもドミニカの86%が混血と黒人です。隣のハイチ国は殆どが黒人で、今でも最貧国のままで苦しい生活をしています。これを見ると、どれだけ当時のヨーロッパ列強諸国がひどいことをしてきたか解ります。メキシコのコロンブス記念碑の前では「侵略者を敬うのはおかしいとして」よく先住民族による抗議運動が行われるらしいです。ヨーロッパやアメリカの押し付けではなく、各民族が自分達の歴史と真実を知り、言いたいことを言える世の中になってきたのはすばらしいことと思います。

 まだ、世界には発言する権利や機会すら与えられず虐げられている民族は沢山います。未だ世界は欧米に偏った報道や歴史観に縛られているように思います。


おまけ、カリブ・ビンセント諸島の鯨料理
 ドミニカで鯨を見た。鯨と言っても意外と小さかった。ちょっと出ては隠れる。TVの動物王国で出てくるような、しっぽを上げたりするのはまれらしい。北海道の市場で食べた血のしたたるような鯨の刺身を思い出した。
 カリブにあるビンセント諸島は伝統的鯨漁をその経済的貧窮も考えられ許可された少ない国の一つだ。鯨が獲れると村人総出で解体し、風邪薬や脂に利用し、無駄にしないらしい。JICAの会報誌に書いてあったレシピを紹介する。日本にもフリッターや大和煮など伝統的な料理法があった、いつ自由に食べられる日が来るのだろう。

鯨肉(ザトウクジラ)1kg、
玉ねぎ  2個、みじん切り
にんにく 2個、みじん切り
タイム  1枝
ホワイトペッパー 小1個 つぶす
シーズニング(ビンセント特有の調味料、トマトや香味野菜や唐辛子を潰したソースと予想できる) 少々
塩 小さじ一杯
黒コショウ 適量
作り方
1、全ての野菜、香辛料を混ぜる
2、肉と脂肪分を切り離す。肉を5cm角に切って中に穴を空けて香辛料を詰める
3、1昼夜冷蔵庫で寝かせる
4、切り分けた油脂分を弱火で炒めて油を出す。肉を水分が出るまでいためる。
5、ごはんに乗せて食す