Egypt エジプト

Cairoカイロ

 いくら世界有数の観光地とはいえ、やはりイスラムの国、荒い運転とボロボロのタクシー、ごちゃごちゃした市場と商売上手なアラビア商人。美しい日の出と共に聞こえてくるコーランの歌、まさにアラブである。

丁度ラマダーンの時期にあたってしまったため、昼間は腹をすかすはめに、その反面、ラマダーン中の食習慣を知ることができた。

ラマダーンとは
 イスラム暦の9月。コーランにさだめられた、聖なる断食月。この月に断食をおこなうことは、すべての健康な成人イスラム教徒に課せられる義務である。断食月をもうけたのは、コーランによれば、「信徒たちが真に神をおそれてかしこまる気持ちをもつ」ようにするためである。
 ラマダーンの1カ月間、ムスリムは夜明けから日没まで食べ物や飲み物を口にせず、夜にだけ食事をとる。イスラム教の2番目に重要な祭りでラマダーンの終わりをいわうアイード・エルフィトル’Aid el-Fitr(断食明けの大祭)では、三日三晩の祝宴が催される。Encarta引用

一般に外から聞いただけなら、おごそかで禁欲的、宗教的な期間に思えるが、実際はお祭りのようである。国によって違いがあるかもしれないが、朝日の出の前にたらふく食べ、昼間はずっとがまんする。だから集中力も無く、普段以上に仕事にもならない。交通事故も増えるらしい。夕方になれば仕事を早くきりあげ、レストランやモスクのテーブルに座り早く5時にならないかと待つのである。早い人で一時間も前からテーブルについて友人と喋りながら待っている。そして5時になると一斉に飲み食いをはじめる、そのすさまじいこと。そして夜は花火があがり、商店が開き町全体がお祭りさわぎとなる。子供も女性も深夜まで町を歩き、食べて、ショッピングを楽しむ。そして早朝にはまた食べ貯めをして、、。
 あんなに暑く乾燥する国で昼間に糖分も水分もとらないのは栄養学から反しているし、先進国から見ると非合理的であると言われるが、彼らにしてみたら、理屈や合理性では計れないところがある。外国人、異教徒からとやかく言われるすじあいはないのである。だから文化というものは面白いのである。。

 夕暮れのモスクにて。モスクの中はひんやりとして気持ちがいい。コーランが美しく響いてくる。コーランを黙読している者、世間話をしている者、寝ているもの。かつて日本でも村人のコミュニティーセンターであった神社を思いだす。
 異教徒の入れないモスクもあるが、カイロでは殆どのモスクに入ることができた。ガイドブックには入場料をとると書いてあったが、全て無料で入れた。ラマダーン中、夕方になると無料の食事に人々が集まる。
 右;水タバコ”シシャ”。リンゴ味やミント味がお気に入り、お香のような香り。水を通すので少し煙が抑えられる。
 隣りのボーイの少年は、その後家にお茶に招いてくれた。このようにアラブの人はよく知らない人でも家にお茶に誘う。お金をとろうとか騙そうとうのではなく。心の広さを感じる。異性に誘われたら注意が必要だが。
 
 ラマダーン期間、夜になると人々が街へくりだす。そして胃を満たし、心を満たす。エジプトを含め他のアラブの国々も非常に治安がいい。海外のメディアが伝えるイメージとはかなり違いがある。
 アラブの国は夜のバザールめぐりがとにかく楽しい。
左:全粒粉で作ったピタパン”アエーシ”エジプトの主食。二つにちぎると中が袋状になる、それに様々なおかずをはさんで食べる。それがいわばスプーンとフォークなのである。白いのはゴマのペースト状のソース”タヒーナ”日本人の口にもあう。トマトとピーマンのサラダはよく付け合せに出てくる。少しスパイシー。
右:エジプト名物、鳩の丸焼きご飯詰め”マフシ”。外はカリカリ中からホカホカの味の染みたライスが出てくる。
左、ラマダン期間中、夜になると激甘のお菓子を食べる。一緒に飲む紅茶も甘い。このお菓子の専門店は昼間から多くの人で賑わう。それを手土産に友人を訪ね祝うのである。日本の菓子詰めの習慣のよう?!
右;臓物専門料理店を”ギブタ”と呼ぶ。注文したのは羊のレバーと脳ミソの揚げ物。脳ミソは中はとろりとしてフォアグラやフグの白子と形容されることもある。アラブは豚肉は全く食べられないが、鳩、うさぎ、羊など他の選択肢が沢山ある。そう考えると日本で普段使う肉のバラエティーは少ない。
ギザのピラミッド。ラマダーン中で午後は閉鎖されていたが、エジプト人と交渉の後、裏口から馬とガイド付で入る。2時間600円ほど。ラクダもいいが、短い距離なら馬の方が速いのでいい。遺跡に近づきすぎて警察に見つかったら駆け足で逃げれた。。
右;ペーパーの語源にもなったパピルス。植物の茎を水にさらして繊維を叩いて伸ばす。何日もかかる。本物のパピルスで作られた絵は手でまげても折れない。
 酒が飲めないアラブの国はお茶屋がいい。モロッコではミントティーだったが、エジプトでは甘い紅茶かトルコ・コーヒー。共に紅茶やコーヒーを粉のまま煮出して砂糖を山のように入れる。グラスに注ぐと底に粉と砂糖の結晶が沈殿する。水と一緒に飲む。たぶん普通の水道水。一杯20円くらい。それと水タバコをふかしながらのんびりすごすのが地元民風。
 ちなみにラマダーン期間の昼間は禁止である。外国人でも見つかると怒られることがある。少し奥まったカフェで隠れるようにして飲んでいる。
エジプトの主食”アエーシ”には粉の種類や形によっていろいろな種類があるらしい。最もポピュラーなのがナンのような”アエーシバラディ”。ここで育った猫はこれを食べる。中米グアテマラの猫はトウモロコシパン”トルティージャ”を食べた。日本の猫は魚を食べる。たぶん育った国の食事により猫の嗜好も異なるのであろう。各国の猫にインタビューして論文をまとめたら面白いかもしれない。しかし私は残念ながら猫語は習得していないので断念。
右、帰国便エジプト航空機内の食事。豚肉はもちろん無い。そしてアルコール類も無い。デザートはかなり甘く、日本人には半分くらいしか食べられない。現地食と言えばそうなのだが。

食文化紹介

エジプト人がよく食べるのは、米、パン、魚、羊、鶏、シチメンチョウなど。タヒーナTahina(植物油、ニンニク、レモンが入ったゴマのペースト)、トマト、ヨーグルト、キュウリはよく食卓にならぶ。伝統的な料理には、フールfoul(干しソラマメを一晩かけて煮込んだ料理)、詰め物をした野菜、ターメイヤta’miyya(すりつぶしてスパイスをまぜたヒヨコマメまたはソラマメを団子にして揚げたもの。別名ファラーフィル)、平たいエジプトのパンなどがある。パンは毎食欠かさず食べる。コフタ(羊のひき肉を団子にし、串にさして焼いたもの)とカバブ(コフタに似ているが、羊肉を串刺しにして焼き、香辛料をつけて食べるもの)は、とくに人気がある。ただし肉は値段が高い。軽食としては、タヒーナやホムモス(ヒヨコマメのペースト)、ババガンヌーグ(すりつぶしたナスとタヒーナをまぜたもの)をそえたピタパンなど。米をブドウの葉でつつんだワラアエナブも名物料理のひとつ。厳格なムスリムは豚肉とアルコールを口にしない。

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