ドイツ・メルヘン街道、地方巡りの旅

 日本では、ドイツ料理と言えば、ザワークラウト(キャベツの漬物)とソーセージのイメージしかなく、美味しくない、単調のイメージがある。しかし、今回ドイツを訪れ、家庭料理や地元のビールハウスで伝統料理を食べ、ドイツ料理の多様性と、素材の美味しさを生かす素朴な料理だということがわかった。
 特にドイツのホテルの朝食はすばらしい。すばらしく素材のいいハム・ソーセージが何種類も出され、各種ヨーグルトやフルーツなど、それだけで昼食に充分なる。スウェーデンの朝食と並んで世界一ではないかと思う。ユースホステルでもなかなかの物を出すが、三ツ星ホテルなどに泊まるとすごい。一般の家庭での食事は軽く質素なもの、だが新鮮な食材を使う(*1参照)右写真

 



ニュルンベルグ

戦後ナチスを裁いたニュルンベルグ裁判で有名な町。城壁で囲まれた美しい街。

左の建物:ユースホステルがカイザーブルグ城の中にある。城門をくぐってレセプションに入る。中も綺麗で、朝食も良く、最高。ちなみにユースホステルのシステムはドイツが発祥だけあって何処のユースも綺麗で整っている。値段は高くても20ユーロ(2600円くらい)。
 ニュルンベルグ・ソーセージもここの名物。ドイツソーセージは一般的に大きいが、これは指先くらいの細さ、フライパンで焼いて油を落としながらカリカリに焼く。大きさといい味といい日本人好みと言われる。
 ちなみにザワークラフトは日本と違い、たっぷり盛り付けてくれる。かつては各家庭で漬けていたらしいが、最近では殆と市販のものを使う。造り方は大きな樽に塩とキャベツを重ねて、好みで香辛料を加えるだけ。

 ニュルンベルグは左の絵のように城壁で囲まれている。各ポイントには見張り台が残る。端まで歩けるくらいの距離で、大きさもちょうどいいくらいの街。
 左はこの地方の名物ビールTUCHER、陶器のビールジョッキがなかなかいい味を出している。冷たいコールドソーセージを注文。やはり暖かいほうが美味しいかな。ピクルスが丸ごと出てくるところがドイツらしい。ちなみに日本では付け合せにちょこっと乗っているザワークラウトもドイツでは山のようにどっさり乗せる。これは食べ残してもかまわない。



ローテンブルグ

メルヘン街道とローマまで続いたロマンティック街道の交差点の古都。

 市庁舎前、毎時になると右の建物の仕掛け時計が動き出し、ビールジョッキを持った人形が出てきて、ビールを飲み干す。ただそれだけ、しょぼいとわかってても観光客がいつも待ち構える。本当かどうかはわからないが中世の時代、敵軍がせまって来たときに、彼が大ビールを飲み干したら街を助けてくれるという約束をして、見事飲み干して街を救ったという。ビール大国、ドイツらしいめでたい話だ。

 街の入り口にある珍しいじゃがいも専門料理店にて。ドイツ人はジャガイモを茹でて食べるだけという考えが変わった。ジャガイモのニョッキ、ジャガイモを練りこんだピザ、他数々の料理が出てきた。
ニュルンベルグは城壁で囲まれた中にすっぽり入った、中世の小さな町。城壁の上を歩いて街を半周できる。城壁の上から撮った写真。

 右、ニュルンベルグ名物の丸ドーナッツ"シュネルバーレン"。ドーナッツ生地を専用の丸型の調理器に入れてじっくり揚げて、その上にチョコレートやシナモン砂糖などで包む。大人のこぶし大より大きく、もちろん中まで油がいきわたっている。半分食べたら普通の日本人は食べきれなくなるだろう。


メルヘン街道、トレンデンブルグ

 トレンデンブルグの城。グリム童話の中の”ラプンツエル”という話に出てくる城のモデル。塔に閉じ込められたお姫様が自分の毛をたらして王子様を招き助け出されるという話。
 その城は現在ホテルとして開放されている。内部は古く、薄暗く、魔女が住んでいそうな雰囲気。
 このようにドイツ各地には古城を使ったホテルが多い。ただ、場所が岡の上にあったり、郊外にあったりするのでレンタカーがあった方がいい。ドイツのアウトバーンは速度無制限、無料、時速160KMで都市間をあっという間に移動できる。
テラスのレストランからの眺めがいい。料理もモダンなドイツ料理。右はデザート。ドイツ人の料理と言うと、繊細さにかけるイメージがあるが、なかなかのもの。最近はフランスやイタリアの技術も入ってきている。


ゴスラー・魔女の街

 メルヘン街道沿い、魔女の伝説で有名なゴスラー。あちこちで魔女の商品が売られている。今でも魔女の末裔がヨーロッパに残るという。一度会ってみたい。あのぐつぐつ煮込む鍋の中身の材料はなんだろう。各国のシャーマンと同じように、薬草類を煮込んでいるのではないかと思うのだが。
 右は、ザルツブルグの特に古い町並み、石で造ったかわら板を側面に貼り付けている。家が傾いているのは老朽化しているから。

右、アップルシュトーレン;カスタードクリームもかかっているが、思った以上にあっさり、フランス菓子の方が砂糖とバターがたっぷりの気がした。ドイツ菓子は飾りっけは無いが、素朴な味で日本人の口には合うと思う。

ヒルデスハイム

ハノーファー近くの落ち着いた街、文化遺産の教会などもあり。ここの中心、マルクト広場には安く、美味しいレストランがならぶ。
 左、ヒルデスハイムのマルクト広場、昔ながらの段木組みの家では最大級の一つ。現在はレストランになっている。昼のメニューも6ユーロくらいと非常に庶民価格。本日のメニューはドイツハムの一つであった。太さ、柔らかさ、ジューシーさといい合格点。


ブレーメン・音楽隊

 4匹の捨てられた動物が音楽隊に入ろうとブレーメンの町を目指す。途中で盗賊の家に出会い、驚かし退治して、その家をいただいて幸せに暮らしたとさ。思うに、当時の貧しかった農村で、口減らしのために捨てられた子供や老人、他が大都市ブレーメンに職と夢を求め向かったという社会背景の下にこの話は作られたのではないだろうか。
 市庁舎の前には銅像が、人が皆触るのでロバの脚が金ぴかに光っている。その市庁舎地下食堂”ケラーハウス”のワインの豊富さはドイツ一であろう。店内にワインの大樽が並べられているのがまるでワイン醸造所のような気持ちにさせる。各地のワインリストも用意されており、グラスでも注文できる。料理ももちろんエコノミー。
 

ハーメルン・笛吹き男の伝説の町


ハーメルンの笛吹き男。笛を吹いてネズミを退治したのに報酬を払ってくれない城主に憤慨し、今度は笛を吹いて子供を連れ去ってしまったという話。 1284年130人もの子供が失踪したという実話に基づいて作られた。また当時は衛生状態も悪く、穀物倉庫に現れるネズミによる伝染病流行という深刻な時代であった。 
 今でも、町の通りで笛を吹いて踊るのは禁止されているとか。
 町のパン屋にはネヅミ型の小麦粉で作ったネズミの置物がが売られている。また、ネヅミを酔わして退治すると詠った強いリキュールも面白い。右写真。
町の中心通りには”rat killer house(ネズミ退治屋の家)”がある。現在はレストランになっている。そこには”ネズミのしっぽ”という料理があり、夜にのみ出される。もちろん本当のしっぽではないが、一度お試しあれ。
 

メルヘン街道のあるメルヘン博物館で買った本。グリム童話に出てくるクッキーやケーキや家庭料理の作り方と話が絵本のように書かれている。伝統的なドイツ家庭料理を知るにはよい。下ではその一つグリューワインを紹介する。パーティーで出してもいいし、風邪ぎみのときにも良し。安いワインで作ろう。

メニュー;グリューワイン

材料 
水 250ml
シナモンスティック 一本
クローブ 4個
レモンの皮、オレンジの皮 一個分
砂糖 80g
赤ワイン 500ml

作り方;
全ての材料を鍋に入れて、強火で煮立たせ、5分弱火にした味を馴染ませ完成。
*水の変わりに、ラム酒やオレンジジュース、紅茶でもできる。

参考文献;メルヘン・ククブック、 kunsdruck bartels

フランクフルト

 国際空港があるドイツの玄関口、日本からの観光客も多くがここに降り立つ。大きな近代都市だが、ライン川が中心を流れ、その両脇には歴史地区、博物館もあり、美しく、落ち着きもある。
 左、市庁舎前の広場では披露宴が行われていた、野外でシャンパンとつまみを食べて祝う人々。ドイツ人の生活ではは何かあればマルク広場のある市庁舎が中心となっているようだ。
 市庁舎から少し下ったところにある室内市場はすばらしい。各地のドイツ中の肉、チーズなどが揃う。見ているだけで楽しい。ドイツはソーセージというイメージがあるが、チーズもフランスに負けないくらい数が豊富。チーズ屋の隣りにはパン屋とワイン屋がある。非常に合理的。
 地元民で夜が賑わう酒場町、ザクセンハウゼン地区。ライン川沿い、博物館通りを下った、ユースホステルの裏にある。ちなみにこのYHはライン川が見え、ロケーションも良く、綺麗でとてもよかった。
 ザクセンハウゼンではフランクフルト名物のアップルワインが飲める。たぶん葡萄を作るには少し気温が足りないのと、と水はけが良くないのだろう。アップルワインは少し酸味と雑味があって、いかにも自家製という味がした。アルコール度は5%くらいで低い。右は1907年からの老舗レストラン。アップルワイン1.2ユーロ。


ケルン


 世界遺産にもなっている大聖堂があるケルン。駅前にあるので列車からも見える。ここはフランスへの入り口ということもあり、フランス語が道端で聞こえてくる。
 ケルンのマーケットで開かれていたビール祭り。ドイツ各地のビール、地元のソーセージやつまみが売られていた。他にコンサートなどがあるわけではなかったが、ドイツ人はビールを片手に延々と話して飲み続ける。さすがドイツ人式祭りだ。
 川の中州にあるチョコレート博物館。ハンガリーやベルギーなどチョコレートの名産地は各地にあるが、これほどすばらしい博物館は見たことがない。マヤ文明から始まり、アフリカへで栽培、そしてヨーロッパで売られてきたカカオの歴史の展示。メキシコ博物館で見た、マヤ文明のカカオの神様などの像もあった。さらに工場が併設されており、製造過程が見れる。もちおろん試食もある(右写真)。ケルンに来たら大聖堂とチョコ博物館へ!



ドイツ・ライン川ワインの旅



 左写真;ドイツ、フランクフルトから電車で一時間でドイツ白ワインの名産地、ライン川の入り口へ、”リューデスハイム”へ。ワイン畑の中の古城の醸造所にあるワインミュージアムを訪れた。葡萄作り、ワインの造りの器具から、ドイツの古いグラスやワインラベルの展示などもあり、非常に充実している。屋上から見るライン川と葡萄畑の眺めも最高。夏は有料で試飲もできる。
 リューデスハイムの名物”ひばり横丁”。レストランが狭い路地にひしめき合う。ライン川のワインとドイツ料理のセットが5ユーロくらいから昼時には楽しめる。右のような感じ。
 
 
 そのままライン川登りの船へ。コブレンツまで4時間の船旅。片手にワインとチーズを持って、ほろ酔いかげんで、川沿いのブドウ畑と城を眺める、すばらしいひとときであった。
 川沿いに教会と城、そしてワイン畑、そいう町が点々と続く。いわゆる中世の時代はこれが領土であり、一つの国であった。多くの船や歴史が通り過ぎていっても人々は葡萄とワインを造り続けたのであろう。
 秋だとデッキに出てるのは、かなり寒いと思う。
コブレンツの丘の上の古城ホテルはユースホステルでした。登るのはしんどいですが、一泊2500円で泊まれました。右写真の山の上。ちなみにここがライン川とモーゼル川の分岐点になる。


 伝統的なドイツ料理は、たっぷりした量の肉にジャガイモの付け合わせが一般的だが、ジャガイモのかわりにヌードルがそえられることもある。塩漬けにし発酵させたキャベツ、ザウアークラウトも付け合わせとしてよく食べられる。豚肉は牛肉と同じくらいこのまれ、鶏肉がこれにつづく。豚肉の調理法は地方によりさまざまである。たとえばミュンヘンでは、小麦粉をねって団子にしたダンプリングとともにローストして食べるし、ノルトラインウェストファーレン地方ではハムにして食べることが多い。子羊の肉は豚肉よりごちそうとされ、とくに北部では広く食べられている。魚はハンブルクなど北海地域のほか、マスが豊富にとれる南部のバイエルン地方でもよく食卓にのる。ドイツのブルストWurst(ソーセージ)は地方によって特色があり、種類も多い。ケーキやペストリーもこのまれる。

 (*1)朝食はやや軽めで、パン、チーズ、ハムやソーセージ、ジャムを、コーヒーなどの温かい飲み物とともにとる。昔から1日の食事は昼食に重きがおかれたが、現在は夕食がメインになりつつあり、昼食は間食程度の軽いものですませるようになった。典型的な食事はスープ、メインディッシュ、デザートからなる。夕食(アーベントブロートAbendbrot)には、オープンサンドイッチがよく出され、薄切り肉、チーズ、ペースト類、野菜などをもりつける。ドイツ人は新鮮な食材をこのみ、こまめに食料品店へ足をはこぶ。

Microsoft(R) Encarta(R) 引用