アイルランド・ケルトの国にて

今でも多くの人がケルト系であり、地方ではケルトの音楽や文化や言葉が守られている。
イギリスの料理に加え、ポテト料理、スープ料理など質素なものが多い。
アイルランドで楽しいのはやはり本場の”アイリッシュパブ”。毎晩アイリッシュミュージックの生演奏があり、皆が一帯となり楽しむ雰囲気がある。話すもよし、聞くもよし、踊るもよし。庶民の店には気軽に入ってビール一杯で一晩楽しめる。イギリスやアメリカのロックがガンガンかかって、ギネスビールが置いてある名前だけのアイリッシュパブとは全然違う。
 公用語はアイルランド語と英語で、住民のほとんどが英語を話し、4分の1ほどが、アイルランドの伝統的な言語であるゲール語系のアイルランド語(→ケルト語派の「アイルランド語」)も話す。一時期、すたれていたが、最近になって言語や文化の復活運動が活発になったとか、現地人が言っていた。
 ケルトの文化と日本の文化には共通点特がある。特に「こぶとり爺さん」などの伝承神話が似ている。 私は特にアイヌ文化に似ていると感じた。ケルトのくさび模様などはアイヌのマタンプシ(魔よけのバンダナ)にそっくりだし、鮭や木々を神聖化するところなど。何かの交易があったのか、狩猟民族、魚食民族や環境が似ていることから来る一致点なのか。興味深い。


毎晩生ライブをしているアイリッシパブが集まる、テンプルバー地区。入場は無料。ギネスビール一杯でいい夜が過ごせる。
 フルート、アイリッシュの太鼓など、独特のパブ用の土臭いケルト音楽。演奏グループは客の盛り上げトークが上手。客と演奏者がジョークをとばし合う。客との距離が近く、非常にいい雰囲気がつくられている。
 リバーダンスをショーとして見せるバーもあり。一般の人はあまり踊らない。田舎に行ったら違うのかもしれないが。
 アイリッシュビールの大ジョッキPINTS(568ml)4ユーロくらいから。やはりビールはこの国では必修*1参照
「5世紀、聖パトリックがケルト人にキリスト教をつたえ、彼らのための教会や修道院がいくつも建設されたが、聖職者ドルイドの指導のもとで古くからの信仰をのこしながら改宗するものが多かった。写真左、ケルトの聖地の一つ”タラの丘”石造十字架のひとつで、大地の神と森の精がかたどられており、ケルト的キリスト教美術の特徴」

 右写真、アイルランド人には欠かせない主食の一つ、ジャガイモ。昔から厳しい気候の中でジャガイモを作ってきた。一時、ジャガイモに頼り切ってしまったため悲劇がおこった。19世紀中ごろのアイルランドでは、ジャガイモ飢饉とよばれる大飢饉が発生し、1848年までにほぼ160万人がおもにアメリカ合衆国に移住した。単一作物に頼りする危険性を説いた自然からの警告である。

ギネスビール工場、最近改装されてモダンな博物館になった。入場料も上がった。ギネスのグッズなども買える。市内の西1kmくらいのところにあり。教会を覗きなら散歩するには丁度いい距離。
 アイルランドのソーダパン、小麦粉を原料とし、現在は重曹を使う。昔からの大切な主食となってきた。作り方は簡単だが、ぼそぼそしてあまり美味しいとはいいかねない。他にブラックとう伝統的なパンもある。(*2参照)

 農業国アイルランドでは、多くの種類の新鮮な野菜がとれる。新鮮な乳製品、パン、魚介類も豊富。かつては食事のたびに食べていたじゃがいもは、現在もよく食卓にのぼるが、パスタや米などもこのまれている。リンゴ、オレンジ、洋ナシは、昔からアイルランド人の食生活に不可欠だったが、ヨーロッパ連合に加盟して以来、種類の豊富な果物が入ってくるようになった。アイルランドの名物料理は、スモークサーモン、アイリッシュシチュー、アイリッシュラムなど。(*2)アイルランドでつくられるパンには、イーストをつかわず重曹とサワーミルクでふくらませるソーダパンがある。また、ブラックとよばれるドライフルーツをいれた濃厚な黒パンもあり、伝統的にハローウィーンの食卓に出される。紅茶とコーヒーは家庭でよく飲まれ、ダブリンの町ではカフェが流行している。また、(*1)アイルランドはスタウトとよばれる濃厚な黒ビールの生産地としても有名。おもなメーカーは、ギネスとマーフィーズ。

昔からアイルランドの朝食にはさまざまな料理がならぶ。ベーコン、ソーセージ、ベークドトマト、マッシュルーム、卵、ホワイトプディング(豚の脂身、オートミール、タマネギなどでつくった淡色のソーセージ)、ブラックプディング(豚の血をまぜた黒ずんだソーセージ)に、トーストか揚げパン。しかし最近は、こうした朝食をとる人は少なくなり、軽い朝食がこのまれている。近年は新しい食材が入ってきて、ヨーロッパ各地をはじめとする外国のバラエティにとんだ料理があじわえる。とりわけ都会ではその傾向が強い。パブPubs(パブリックハウス)やカフェでは、軽食もちゃんとした食事もとれる。

アイルランドでは、一日に3度の食事をとるのが一般的。昼食はランチとよばれ、夕食はディナー、軽い夕食はサパーとよばれる。しかし地方では、昼食をディナー、夕方の食事をティーとよび、昼食をメインとすることもある。最近の風潮では昼食は軽くすませる人がふえ、とくにダブリンなどの都会ではその傾向が強い。ホテルやカフェでは、現在もイングランド流のアフタヌーンティーを出しているところもある。これは午後4時ごろに、クッキー(アイルランドでは「ビスケット」とよぶ)やスコーン、ケーキなどとともにお茶を楽しむ習慣である。夕方に食事をとる場合、午後9時ごろにもう一度サンドイッチやケーキ、ビスケットなどの軽食をつまむこともある。

参照 Microsoft(R) Encarta(R) Encyclopedia 2002. (C) 1993-2001 Microsoft Corporation. All rights reserved.