エスニック

連載記事

(2004年1月広島廿日市国際交流協会誌)中国の春節祭、水餃子作り       
  放浪料理人コータ
春節好(チュンジエハオ)! 旧正月おめでとうございます。
1月22日は中国の旧正月でした。横浜中華街のように獅子舞が舞ったり、爆竹を鳴らしたりとはいきませんが、その代わり中国の旧正月にはつきものの水餃子作り講習会を廿日市の地御前公民館で行いました。講師には廿日市の中華料理店『曽筵』オーナー曽根英憲氏をお呼びしました。参加者皆で水餃子の皮を作りましたが、なかなかシェフが作るように素早く形よく皮ができずに悪戦苦闘。中国では餃子の皮を作るような力のいる作業だけではなく、料理一般を男性がよくやるそうです。日本の男性はどうでしょうか?残念ながら公民館の料理講習会には男性の出席者は少ないですね。しかし、今回の講習会では「男性の料理教室」からの参加者も多く、手際も良く、講師に積極的に質問をされる方も目立ち、非常に頼もしかったです。曽根シェフ曰く「現地の料理は日本人のイメージしているように、油っこくなく、体にいいもの。本当の中国の料理や文化を知ってもらいたい」。また、材料の下ごしらえなど、一つ一つにプロの技の丁寧さが見られました。わきあいあいと餃子の皮を包みつつも非常に内容の濃い講習会となりました。謝謝
さて、私は2月より、北京の大学へ半年間、北京語と料理の勉強に向かいます。中国の現地の人々の生活や食習慣、キャンパスライフなどをレポートできればと思います。「放浪料理人コータの中国食遊学記」請うご期待。
再見 朋友



(どりあん共同通信1月号) 放浪料理人コータ 食遊記「中国編」 (新年好!新規開始第一編)

 船が上海の港に辿り着いた。船を降りて、大地を踏みしめた。それが初めて経験する海外の土地であった。あれから10年ほどがたった。その間、世界35カ国近くを回った。そして2003年の冬、再び神戸港より船で中国に留学に向かう。
 学生時代から、世界の食を探求するなら、世界の主要3カ国を完全にマスターするのが目標であった。英語、スペイン語、中国語である。ちなみに世界3大料理と言うと中華、フランス、(日本?)、最後の部分は言う人によって違う。中華料理が世界で最も有名なのは言うまでもない。少なくとも中国人は皆思っている。
語学を学ぶには、頭の柔らかい30歳までにというのが自分の中の区切りであった。大学でそれらを勉強した(所詮かじった程度)後、オーストラリアで働き、中米で協力隊に参加、南米を一年放浪した。そして、残るは中国のみとなった。しかも、留学が終わる、今年の7月でまさに30歳になるのである。だから、SARZが流行しようが、日本人批判運動が出ていようが、何としてでも行かねばならない。
 中国のいくつかの大学からパンフレットを取り寄せて大学を選んだ。自分の母校に卒業証明書や成績証明書を取りに行き、身元保証人のサインと共に願書を書き中国の大学に送る。一ヶ月ほどして入学許可が届く。ビザの申請と渡航(船)チケットを購入した。以上が入学までの流である。

中国には私立の語学学校が無いため、中南米のように、ふらっと行って、好きな街で好きなときに始めるということができない。大学の語学コースに必ず入らなければいけない。一般の人はこの申請が難しいと思っているので、旅行会社に代行を頼む。すると手数料が5万くらいかかってしまう。しかし、最初から最後まで、正月休みも挟んでも、3ヶ月もかからなかった。願書は中国語と英語表記、中には日本語表記の大学もあるそうだ。手紙も普通郵便で出したのに早く着く。中南米のように、郵便物が紛失したり、世界中を回り一年後に戻ってきたり、現地職員が忘れていたり、無くしたりといったことが無い。そういうラテン的な国に長くいたので、このスムーズさに驚いた。しかも現地の大学の留学生課にメールで確認をとったら、すぐに返信が来た。恐るべし、中国の進歩。いや、我々が思っている以上に急成長しているのかもしれない。古い伝統文化と同時に、世界の注目を浴びて活気づいている中国を見るのは楽しみである。それは、まるで高度成長期の日本と同じ歴史を見ることかもしれない。人は歴史から過ちを学ばなくてはならない。
今年こそは良い年になることを期待して。
新年快楽!再見 


(廿日市国際交流協会4月号) 「北京・食の留学記」 by 放浪の料理人コータ 

広島を離れ、神戸からの船に乗り、遣唐使よろしく中国に向かいました。目的は半年で中国語と中国料理を習うことです。4000年の食文化の一部でも見出せたらよいと思っています。しかし、日本で持っていた、中国語は日本語に似ているし何とかなるのでは、という考えが甘いことは、授業が始まってすぐに解りました。いきなり、中級のクラスに入ってしまったというのもありますが、授業は中国語のみ、先生は現地人のスピードで話し、宿題や課題も半端な量ではありません。最近、長安で日本人留学生が大学祭で不愉快な行動をして大きな事件になりました。その時、中国に来ている日本人留学生は遊んで過ごしているのでは?という報道が日本でなされました。しかし、北京で私が見る限り、自費や大学の奨学金を受け、多くの課題をこなしながら、大なり小なり努力している学生が殆どのようです。少なくとも日本国内の大学生よりも勉強はしているように思えます。同じく日本に来る中国人留学生の数も増えています。慣れない習慣や高い物価のためにリタイアしてしまう一部の学生もいますが、大多数が優秀な学生達です。
 北京の大学には日本人だけでなく、欧米、東南アジア、各国からの留学生が集まります。中国の急成長に伴い中国語の必要性も高まる一方です。特に今は、韓国の留学生が多数を占めます。日本人留学生で、中国語だけではなく、寮の同質の韓国人と仲良くなり韓国語を習う人も少なくありません。学生は各国から集まりますが、皆中国語を学ぶという一つの目的を持ち切磋琢磨しているのです。
 日本人は西洋、特にアメリカの文化や考えを理解しているように錯覚していますが、米国で生活してみるとその違いに気づくはずでる。逆に中国ほど文化的や感覚的に近い国はありません。特に中国語を学ぶとそれがわります。
しかし、中国と日本は知っているようで、お互いに解り合っているとは言えません。歴史問題や政治問題などを含め多くの誤解があるように感じられます。これが"近いようで遠い国"と言われる由縁です。日本と中国、韓国の各国の若い世代が、このように留学を通して、互いに交流し、お互いの良い点、悪い点を見られるというのはすばらしい機会だと思います。

再見 朋友(ザイチェン・ポンヨウ)


(広島廿日市ミニコミ掲載4月)中国茶文化と知恵。

  北京で暮らし始めて、まず準備したのが、湯沸かし器と茶器であった。茶器と言っても、茶碗に蓋がついている簡単なものである。日本でも中国茶の静かなブームがあり、立派な茶器や高級なお茶葉が手に入るようになった。様々な道具を使い、ゆっくり作法に従いお茶を入れるやつである。しかし、中国本土ではこのような方法でお茶をいれてくれるのは、高級な茶館くらいで、庶民は安い茶葉を大量に買い込み、粗末な急須か茶碗に直接湯を注いで飲む。中国人はとにかく豪快に飲み、食べ、話す。しかもお茶を飲む量が半端ではない。一日中お茶を飲んでいると言っても過言ではない。外にも水瓶という茶葉をいれた瓶を持っていく。湯は職場や学校に常駐されている。乾燥した土地柄、油を使った料理を食べ、余分な油を体外に排出させるための知恵なのである。ちなみに中国で一番消費されているのは緑茶、北京人はジャスミン茶を好むとか。

文と写真、放浪の料理人コータ。広島五日市出身、世界の食を求め35カ国を回る。現在北京留学中。

4月ブロッサム「北京・食の留学記」 春天 by 放浪の料理人コータ
"春眠暁覚(春眠暁を覚えず)…"。北京名物の黄砂を含んだ砂嵐のような強い風が吹き止むと、桜や桃の花があちらこちらの公園で咲き始めました。北京の人々も週末になると、花園へ花見に繰り出します。日本の花見も好きですが、中国の公園ではごみを捨てたり酒を飲んだりするのは禁止されているので、より静かで綺麗です。
 北京の春は短いと言われていますが、聞いていた以上で、2週間ほどで去っていきます。もうすでに花が散り始めています。この便りがつくころにはもう真夏でしょう。
さて、日本人留学生の学習方法で相互学習という方法があります。英語で言うExchangeです。日本語を学習している外国人に(ここでは私が外国人ですが)、日本語を教えてあげるかわりに外国語を教えてもらう。お互いのニーズに合うし、お金がかからないし、お互いの文化や習慣を話しあえますし、非常にいい方法です。ただ、相手の日本語学習のレベルが低すぎても高すぎてもこまることがあります。「を」や「が」などの格助詞の使い方の違いや、尊敬語の語尾変化など、日本人でも知らない文法などを聞かれることがあるからです。いまさら日本語の勉強をせざるおえないときもあります。誤解されやすいのですが「アメリカ人=英語が教えられる」ではないことと同じです。語学を選ぶときは教師の資格と経験を確かめてから慎重に。
ちなみに中国で1時間15元(200円)ほどの謝礼を払って教えてもらう家庭教師を補導(フーダオ)と言います。これも個人差が大きいです。大学院生ぐらいになると教養も広く丁度いいです。日本語学科や、日本に関心のある人だとより良いと思います。注意が必要なのは、中国は56の民族が暮らす国です。方言や少数民族の言葉も多いので、できれば始めての人は北京人にきちんとした"漢語(ハンユー)=北京語"を習うのがいいと思います。
一番問題なのが、隆が異性で、普通に大学で授業を受けて、寮に帰るだけの生活をしている学生は、殆ど中国人の友朋(友達)ができないことです。つまり会話の実践ができないのです。中国人も日本人と同じでシャイで、外国語を使って知らない外国人に気楽にしゃべりかけてくる人なんて殆どいません。自分から動かないと友朋はできないのです。普通仲良くなるのは日本人か、韓国人などの留学生同士で、最後まで中国人の友達ができずに、会話もろくにできないまま帰国する留学生も少なくないのです。授業に参加しているだけ、自分で勉強しているだけでは会話は上達しません。日本での外国語教育にも同じことが言えますね。
日本で日本語の勉強をしている留学生は沢山います。双方に有益になるので、ぜひ日本でも語学Exchangeを流行らしたいものですね。「君は今、何語のExchangeがいる?」「僕はスペイン語」「僕は中国語」なんて言葉が自由に交わされるのが普通になるくらいまでに。

北京・食の留学記 北京の夏 by 放浪の料理人コータ
北京は毎年水不足で困っているそうですが、今年の北京は雨が多いようです。聞くところによれば、中国政府が飛行機から塵を蒔いて人口雨を降らしているとか。たしかに時々いかにも不自然な大粒の雨が降ります。SARSのときには本当かどうか、空から消毒薬を蒔くと言う話があったくらいです。やはり大陸の人々の考えるスケールは大きい。
大陸的な人々は、概してふとっぱらで細かいことにこだわりません。列車やバスの到着が一時間くらい遅れるなどたいしたことではありませんし、三国志など歴史書に出てくる軍隊の数が1万でも100万でも「多人数」なので同じことです。大学内で断水や停電がおきても皆平然としています。
食事の習慣では特にふとっぱらと言えます。中国では"割り勘"という言葉はありません。食事をしたら、誘った人か年長者などが皆の分を払います。"清客(チン・カー)"という言葉です。面子を重んじる人達なので、逆に何人も「私に払わしてくれ」と言って揉める事もあるそうです。知らない人や、もう2度と会わないかもしれない人にも"清客"をします。中国ではかつて貧しい時代に食事を沢山食べていってもらうことが一番のもてなしでした、太っている人は裕福の象徴で、夕方にはTシャツ一枚でお腹を自慢げに出しながら歩く人がいて、結婚相手も太めの女性が人気であったそうです。裕福になった現代でもその考え方の一部が続けられているのです。
大勢で食事をするときは、常に食べきれないぐらいの料を注文します。日本人だと、残すと失礼と思い、全部食べきるまでがんばります。中国人は何も残らなかったということは食べ物が足りなかったのでは、もっと注文すればよかったのではと後で心配します。大量に残るともったいないと思いますが、そのときは"打包(ダーバオ)"と言ってパックに入れて家に持って帰ります。私も常に持ち帰りをして次の日の食事にします。物を無駄にしない良い習慣です。
中国で、日本人が会計の時にちまちま計算機で割り勘をしていると「お金持ち日本人がなぜこんな安い食事代をそんなふうに払うのか」と不思議がられます。しかし、最近中国も現代化、欧米化の影響で、都市部の人の間で割り勘がされるようになりました。"AA制"と言います。英語を使うのは現代的、同じ文字は同等を示しているそうです。
最後に私の好きな、中国人の食を正に表している諺を紹介します。
"民為食以天"(ミン・ウェイ・イー・ティエン)(中国の民は食事を天のように大切な事とする。)

北京・食遊記 7月   「中国人とは?」
 中国留学が6月で終わった。半年近く勉強して、中国語は日本人に馴染みやすいが、スペイン語や英語と比べ難しい言語だということを気づかされた。そして中国人の多種多様性を学んだ。
 日本人が一般化して言う、「中国人は気が大らかだ」「中国人は金にうるさい」「中国人とは歴史問題が残っている」「中国人は真面目だ」「中国人は、、、」。しかし、それがどの中国人を指すのか、中国大陸の漢民族なのか、南方系か北方系か、都市人か農村人か、海外に住む華僑なのか、台湾人なのか、中国の朝鮮族系中国人か、中国のウイグル族なのか、チベット族なのか、等等。北京人曰く全て中国人だが、それぞれの民族や立場によって考え方習慣が大きくかわるのである。そしてある中国人の意見を大部分の中国人の意見として捕らえるのは過ちを犯しやすい。北京など中国都市部では愛国歴史教育の影響もあり、日本に嫌悪感を持つ人も多い、話してみると誤解も多い。しかし日本語に留学しに来て、我々が接する学生の殆どはエリートである。彼らの視野は広い、そして滞在中、日本の本当の姿を学び、親日的になっていく。
北京人学生と日本の事について話すと、情報の偏りを感じる。特に歴史問題について知りすぎているほど知っている。しかし本当の日本人、日本を知っている人は少ない。知識だけは多いのだが。これから中国も経済成長を続け、改革開放が進み、彼らが日本や海外に自ら出かけていく機会が増えていくとまた相互理解も深まることであろう。SARSがあったが、常に中国を訪れる日本人も多い。日本人も中国の様々な人と意見を交わし、彼らの本当の姿を見てほしい。
 ある国際経済学者が言った、「貿易と旅行は戦争を防止する。」貿易関係が増すと相互の損失を招く紛争を好まなくなる。また、旅行によって人々の交流、互いの文化を理解しあうことが戦争の防止に繋がるということだ。あの国民、民族やあの宗教はどうであると人はステレオタイプ的に決めたがるが、旅で様々な人に会うことによってそれが無くなってくると思う。
 たから私は旅を続け、いろんな人に会い、色んな文化に接し、楽しんでいるのかもしれない。旅は続く。

7月から北京からモンゴル、シベリア鉄道でロシア、ヨーロッパを目指します。また広島でお会いしましょう。
再見



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