パチャマンカ(大地の鍋)


 10月末、アンデス晴れの晴天の中、山口県のある知人の所有する森の中で行った。生きた鶏、穴が掘れる土地、栽培された中米の生唐辛子。トウモロコシのどぶろく”チチャ”、陽気な仲間たち、アンデスの音楽。全ての材料が整った。


ハラペーニョとチレコムン、中米の生唐辛子、これをすりこぎでつぶしてレモン、香草、油を加えてウチュ・クタ(唐辛子・るぶした)というサルサをつくる。肉にも芋にも合う。
 インカの第一言語ケチュア語でパチャマンカ(大地の鍋)、大地に穴を掘り石をつめて薪で焼いた後、ジャガイモや鶏肉をつめて蒸し焼きにする。文字通り大地を鍋だ。
鳥のト殺と生贄の儀式。大地の神(パチャママ)に血と内臓とどぶろく酒を与えて祈る。血の一部は顔に塗る。ボリビアの村ではリャマの生贄をやった。あちらでは祝い事があると、家族親族が集まり大型の動物を一頭絞めて解体するのはめずらしくない。もちろん子供たちも手伝う。日本では残酷とか公衆衛生の面から殆どやることができない。生と死と食が無機質に切り離されているような気になる。
 1時間半で地中から芋と肉が出てくる。熱で蒸されてトロトロのホクホクになっている。直火で焼くのとは全く違った味だ。