Romania ルーマニア

 他の東欧諸国に比べ、貧しさが目立つ。首都ブカレストでは物乞いをする子供達が目立つ。インフラの整備も遅れ、道はがたがた、列車の便も悪い。大農業国でありながら、チャウチェスク独裁政権の下、集団工業が重視され、飢餓を招いたこともある。現在は安定してきているが、まだまだ貧しさからは脱っせないでいるようだ。

 ダキア人の子孫とされるルーマニア人が人口の89%を占めている。公用語ルーマニア語はラテン語から発生したものであるため、スペイン語がしゃべれるとある程度理解できる。初めてこの国にはいったとき、バスのアナウンスがなぜ理解できるのか不思議だった。あらてめでラテン系言語の便利さを感じた。古代ローマの進出、そしてラテン教会が学術の面で中世ヨーロッパでは公用語として使われていたのもなっとくできる。現在は英語が世界共通語のように思われているが、中世から続いてスペイン語かポルトガル語が世界共通語だったらどんなに楽だったろうかと思う。

Bucharest・ブカレスト

 これが首都かと思うほどの古さに驚く。いい意味ではクラシック、悪い意味ではボロボロ。夜は電灯も少なくなり、店も閉まる。しかし治安は意外といい。もう少し夜に楽しめるレストランやバーがあればよいのだが。中心地のヒルトンホテル裏にあるルーマニアンレストラン”LA MAMA”は地元民も外国人にも知られている良い店。伝統的な料理を一皿400円くらいで食べれる。サービスも良い。

 ルーマニアのGeminiプラザの市場、種類が豊富とはいいかねないが、それなりの物はそろう。乳製品やワインは安い。
 右写真、生キャベツとキャベツの漬物。ドイツのサワークラフトは千切りにしてからつけるが、このように丸ごと漬けるのは始めて見た。サワークリームといい、ルーマニア人は酸味を好むようである。

 ヨーグルトで有名なブルガリアでも乳酸菌がきいた酸味のある食品が好まれる傾向にある。冬の厳しい高山地帯で長期野菜を保存し、ビタミンを補給する知恵なのであろう。
左写真、チョルーバはサワークリームを使った酸味のあるスープ。鳥や牛のスープもあり。伝統的なのはチョルーバ・デ・ブルータ、牛のハチノスを使ったスープ。臭いは殆ど無い。酸味のある濃厚なスープを唐辛子をかじりながら食べる。タイのココナッツスープを思い出した。

右写真、サルマーレはロールきゃべつをベーコンのスープで煮込んだもの。このサルマーレにはキャベツのピクルスが一緒に煮込んであり酸味があった。
 また、ピクルスしたキャベツで巻いた酸味のあるロールキャベツもある。
 公園に行く途中に見つけたサンデーマーケット、各地の農家から持ち寄られた野菜が並ぶ。他のヨーロッパに比べ値段も安いし、ぼろうとしてくる人もいなく、言葉があまり通じなくても安心して買い物ができる。
車にキャベツを自家用車に満載に乗せてやってくる農家の人もいた。ルーマニア料理にはキャベツを使ったものが多いような気がした。

トランシルバニア

 観光客が最も多く訪れ、観光開発も進んでいる地区。冬はスキーのメッカにもなる。
また国内外でもここのブラン城はドラキュラ伯爵の城として有名、常に多くの観光客が訪れる。
ドラキュラ伯爵はアイルランドの大衆小説作家ブラム・ストーカーの怪奇小説「吸血鬼ドラキュラ」(1897)の主人公。あくまで架空である。

 モデルとなったのは1430年に生まれ76年に没したルーマニアのワラキア公国の君主で、名をブラド・ツェペシュといった。その父はブラド・ドラクルといい、ドラクルからドラキュラという通称ないし異名が生まれたと考えられるが、これにはいくつかの異説がある。ルーマニアでは侵攻してきたトルコ軍に屈せず祖国の統一と独立に献身した名君といわれている一方で、残忍な刑罰を科したことでも知られた。トルコ軍兵士を串刺しにして道に並べ反撃を防いだという節もある。これが吸血鬼ドラキュラにつながる伝説を生むことになったようである。
 その城に実際に行って感じたが、城は交通の要所にあり、治安を保ちながら各地から来る行商人から通行税を取りたてなくてはならず、違反者には厳しい刑罰と規律が必要であった。またトルコとは隣国であり、中世よりオスマントルコとは攻防を繰り返してきた。300年厳しい支配下にあったこともある。そいう理由から強行的な政策が必要であったのであろう。

左写真、ドラキュラの元になったブラン侯が住んでいた城(上記参照)。首都ソフィアより3時間ほど。

右写真、城の下で売っていたバンパイアワイン。地元のカベルネなどの赤ワインを使っているのにバンパイアのラベルをはっているのだろう。
ルーマニアのワインもビールは安いが、それほどお勧めはできない。生産技術が低いのか、あまり質は高くない気がした。そこそこいいルーマニアレストランでもアルコール類は国産ではなく西欧の物を使っていた。


食文化

長年にわたる食糧不足の時代をへて、現在のルーマニアは食生活が豊かになった。とはいえ、食料の値段が高く庶民には手が出ないという現状でもある。一般的な朝食は、卵、チーズ、ロールパンなどのパンとコーヒー。昼食は、スープ、肉料理、ジャガイモ、パン、野菜にくわえ、ワインやビールなどの飲み物が一般的。プラムからつくったブランデー「ツイカ」tzuicaもよく飲まれる。夕食のメニューは昼食と似ているが、量は少なめ。夕食は1日の中でも大切な時間で、家族が食卓をかこみ、その日の出来事を話しあう。代表的なルーマニア料理には、ミテテイmititei(スパイスをきかせたひき肉をまるめて焼いたもの)、パトリチエンpatricieni(ソーセージを焼いたもの)、ママリーガmamaliga(トウモロコシ粉と小麦粉をねってヤギのチーズをのせた、マッシュポテトのようなもの)などがある。ペストリーは人気のあるデザート。

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