東城町 生熊酒造「超群」での酒造り

 広島県の北東の県境にある比婆郡東城町。そこに2社ある酒蔵の一つ百三十年の歴史を持つ生熊酒蔵「超群」
米は地元比婆地方の酒米「八反錦」を使い、水は名勝・帝釈峡の伏流水を使用。石灰地帯から湧き出る、酒蔵に適した中硬水だ。この蔵で働く杜氏や蔵人も代々地元民である。
まさに「米、水、人」、三位一体のハーモニーが超群を醸し出す。
3年前より、若い杜氏兼経営者に代替わりして、主に杜氏を含めた3人の若者達によって新しい酒造りの兆戦が始まった。
 私は、今まで専門の食品加工を各地で機会のあるかぎりやってきた。東京農大時代にあらゆる発酵食品、ワインの醸造実習や、海洋大学でのマグロの解体から鯨の解体と加工。
もちろん日本酒も小規模では造ったことがあるが(といってもどぶろくレベル)、実際の蔵で酒造りをやったことはなかった。素人に毛の生えた程度ではは入れない酒蔵という敷居の高さがあった。妻の従兄弟がこの超群の杜氏になったのを絶好の機会と考え、一週間であるが、酒造りに参加させてもらうことになった。

生熊酒造の販売所。酒蔵を見学した後、直接お酒を買うことができる。
残念ながら他県どころか広島市内でも買えないがネットでの注文は可能。http://www7a.biglobe.ne.jp/~chougunikuma/
酒蔵の正面。長年使い続けた蔵には「蔵つき菌」がいるために、同じ麹を使って発酵させても蔵によって味が異なる仕上がりとなる。
蒸した米をスコップですくいあげる作業。蒸気で熱いし、力のいる作業。若い蔵人が行う。 蒸した米と酵素と水を混ぜ合わす作業。これも力がいる。酒造りは体力勝負
4段仕込み用に一晩寝かせて糖化酵素を反応させる。ていねいに布をかけて保温する。 約5000Lのタンク。発酵してプチプチと泡が出る。麹が生きているのがわかる。
酒を圧搾機にかけて搾り出した後にフィルターについた「酒粕」をヘラではがしていく。 板にそって同じ形に酒粕を切り分かる。近年健康ブームで酒粕が売れているらしい。カスどころか大切な商品である。
圧搾された酒が出てきたところ。ポンプで運ぶ。活性炭などを最小限にしているので黄金色をおびている。 酸度、日本酒度、アルコール度を計測する。味の指標とするのに重要な作業。私は大学時代ずっとやっていなかったが、やってみると体が覚えていた。
機械での瓶詰め作業。異物が入っていないか一本一本光をあてて検査する。 中途半端な量はろ過をしながら手で入れる。昔ながらのやりかた。
パック酒は専用の機械で熱をかけて閉じる。一升瓶に比べてランニングコストがかかるが値段は安い。 純米や吟醸、ビンも様々なラベルを使って、新しい商品を毎年作っている。ぜひ超群をよろしく。自分が少しだが参加してできた酒はまた格別美味しい気がした。