シベリア鉄道の旅 北京〜モスクワ・サンクトペテルブルグ


 ヨーロッパを目指し、北京を出発。中国の旅行社にチケットやビザの手配をしていたが、彼らの準備不足のため、出発前にキャンセル。料金は高くなったが欧米系の旅行社に依頼、確実に旅行を組んでくれた。まだロシアはビザはインビテーションカード、バウチャー、レジストレーションなどが必要で個人で手配して、自由に旅行できる国とは言えない。ロシアでは英語も通じない、時間と労力がかかってしまう。今の時点では旅行社にまかせるのが無難。あと、数年待てばロシアも今の東欧と同じように自由に行き来できる国になるであろう。

北京出発

 北京出発。北京駅の中には待合室、売店、何でもあり。食料を買い込んで。特にカップラーメンと紅茶、コーヒーパック、耐熱コップは必需品。鉄道の中で湯沸かし器は24時間利用可能。シャワーは無し、ペットボトルに水を汲んでかかる。
 食堂車はモンゴル側は綺麗、味も値段もモンゴル料理ありでまずまず。私は各地で止まった駅のホームで売っていた物を買って食べるのが好きだった。要ロシア語!

外モンゴル、ウランバートル

7月18日 一晩でモンゴル到着、ツアーに参加、草原の中のゲル(移動式テント)に泊まる。星空を見ながらモンゴル青年とモンゴルビールを飲み話す。夏なのに夜は火を炊かなくてはいけない
くらい冷える。早朝は日の出を浴びながら中国剣舞を踊る、興味を持ったモンゴル青年達に剣の使い方を教える。彼らは弓と乗馬は上手い。次回来るときは自分の馬を買って、彼らに馬の扱い方を教えてもらい、彼らと羊を追いかけて旅をしてみたい。

360度、草原。外モンゴルには、中国・内モンゴルに殆ど無くなった大草原、ゲル(遊牧民の住居)、馬、伝統的な暮らしがあった。暮らしは貧しいし、都市部への人の流出の問題もあるが、牧民は誇りをもって暮らしていると思う。


右、伝統的なモンゴル楽器での野外演奏会。今では少なくなったホーミーの演奏も聴けた。
左、モンゴルのウォッカ、40%。彼らは店で買う。今でもチンギスハンは英雄的存在、ラマ教や自然信仰と結びついて神にまでなっている。モンゴルのラマ寺院では高炉の火の中にこのウォッカをふりかけながら祈る。

右:市内の公園の中にゲルがあり、入ってみると乳酸飲料屋であった。ケフィールを使った発酵だろうか、少しアルコール度あり。地元の人達が一休みしながら、お椀でぐびぐび飲んでいる。ペルーやボリビアの先住民族の村のトウモロコシのドブロク屋を思い出した。
衛生状態は悪し、その後、腹の調子が悪くなる。

シベリア、バイカル湖

シベリア鉄道、毎日ロシア人や相部屋のイギリス人とビール、ウォッカ
を飲む。駅で止まるたびに食料を調達しに行き、英語が通じないロシア人に身振りそぶりで「食べ物をちょうだい」と頼み、また急いで列車に戻る。そんな毎日。バイカル湖の魚の燻製は絶品であった。
ロシアのインスタントラーメンはまずい。北京でもっと買えばよかったと後悔する。列車の各車両にはサモワール(湯沸かし器)が常備されている。他に、中国の水筒やコップ、インスタントコーヒーと紅茶を買っておくことを勧める。ビールは各駅で買える。冷たいとはかぎらない。特にペットボトル入りのビールは必ず冷えていない。

朝、目が覚めるとそこにはバイカル湖が広がっていた。
 少し天気が悪い、そして肌寒い、まさにシベリアという感じだ。
 バイカル湖のほとりで燻製を買う。塩分がかなり高く、よく燻製されている、中は半生、味は最高。6本一パックで売っている。これ一本とパンとチーズとウォッカがあればそれで夕食になってしまう。
 シベリアの町に辿りつくと、人々が駆け寄ってくる。乗客は北京で買い込んだ品物を窓から売り始める。そしてそれを防止するために警棒を持った警官が来ると、列車の中に隠れる。半分本気で半分遊んでるように、警官やバイヤーの顔に笑顔が見える。私も同室のモンゴル人家族の販売を手伝ってあげた。

右、駅での売り子。チーズとキャベツだけ入ったピロシキと甘いお菓子。ピロシキはロシアの代表食だが、特別の日以外、普段は食べない。都市部では全く見なかった。ロシアにはアジアの路上で売っているような軽食は見つからない。
左、シベリア鉄道(2ndクラス)の室内。4人ベット。しかし人がいないので2人で貸切状態、快適。一等席と同じ。列車の中で典型的酒飲みロシア人とウォッカとビールを飲む。彼らは気前はいい、酔っ払うと、手に負えないが。
 黒ビールは味が濃いが、いやな苦味は無い、さすがに大麦の産地だけはある。アルコール度は8%と、かなり高い。缶ビールで一本1$くらいなので、安いとは言えない。物価の上昇でロシアの酒飲み達は困っているだろう。
左、イルクーツク付近の駅のホームで買った、湯でザリガニ。伸ばせば20cmくらいあるだろうか、こんなに大きなザリガニははじめて見る。塩が多めで充分茹でてあったので安心して食べられた。ちなみにアジアなどの半生のザリガニは寄生虫が多く、あたりやすい。5匹ほどがビニール袋に入って、2$くらい。北欧でも名物だが、そこでは一匹4$くらいした。ロシアでもっと買って食べておけばよかった。
 ロシアはイクラ(ロシア語)にしろキャビアにしろ、魚の燻製にしろ、生の魚介類を食べる習慣がある。だから、刺身も簡単に受け入れられる。モスクワでも回転寿司屋が人気。

モスクワ

7月24日、そろそろ列車にも飽きだしたころに、モスクワ到着。モスクワ駅でがいきなり警官に因縁をつけられ、地下の検問室に連れていかれそうになる。すんでのところをツアーガイドを呼んで助けてもらう。聞いてはいたが、ロシアの警察官は常にこうやって脅して旅行者から金を巻き上げる。日本人被害者多し。ロシアの教訓「警官を見たら泥棒と思え」
 モスクワに到着したら、すぐにレジストレーション(居住登録)を忘れずに、2時間くらいかかる。パスポートは必ず携帯。警官のチェックあり。
 ロシアのクレムリンや赤の広場を見る。夏は暖かい。ついこの前まで社会主義国であったのに街にはマクドナルド、ネットカフェがあり、若者はロックを聞いている。都市部ではニューリッチも多いが、シベリアで見た田舎の暮らしは貧しかった。
 クレムリンと武器博物館は行く価値がある。あと美術館なども良い。

 赤の広場の横、赤いのは博物館。展示物はなかなか良い。おなじみ玉ねぎ頭の協会も見える。クレムリンも含め、見所はここに集中している。少し郊外の安ホテルに泊まっても地下鉄で簡単に来れる。
右、ペリニエ(ロシア風水ギョーザ)。ポテトだけのものや、肉入りなど具がいろいろある。シベリアの方の名物、列車の駅なので買うこともできる。私は中国の下宿の裏でよく食べていた、羊肉の水ギョーザの方が好み。
 赤の広場の前の超高級GUM百貨店。モスクワに来た観光客は必ずクレムリンを見学し、ここでショッピングをするのが定番。高級品が多く、安いとはいえない。マトリーシュカなどの土産ものを買うなら他の地下街の小さなショップなどの方が安いだろう。私はプーチンの中からエリチン、ゴルバチョフ以下が出てくるマトリーシュカが気に入った。中国指導者バージョンもあるらしい。
 グム百貨店の3階にはフードコートの店が入っている。ロシア語がわからなくても、指を指して注文できるので非常に楽。昼には3品くらいのセットで安くなる。他の店でもbusines lunchと書いたセットメニューがが4$くらいから食べられるところがある。
 百貨店前ニコリスカヤ通り沿いのにはお洒落なレストランが並ぶ、回転すし屋もあり、もともと生サーモンやイクラを食べるロシア人にとっては寿司、刺身は受け入れやすいだろう。寿司屋の横ではクレープをその場で焼いてくれる店がある。ジャムやクリームチーズなどを入れることもあればサーモンなどの塩辛い具を入れることもある。私はクレープは甘いデザートの方が好き。
 ニコリスカヤ通りを東に行った所に、地元民も通う、ロシア家庭料理の店を発見。値段も手ごろ、雰囲気や料理も良い。しかし、こういう店は必ずと言っていいほどロシア語メニューしか無く、英語の解らない定員がいる。知っている料理の名前を叫ぶしかない。ボルシチは比較てき何処でもある。また、サリャンカというスープも良い。右はビーツのスープ・ボルシチ、サワークリームを必ず入れる、酸味とクリーミーが加わり美味。

サンクトペテルブルグ

 モスクワから、夜行列車(簡単な朝食付)を一晩乗るとサンクトペテルブルグに到着する。東欧のような美しい街。モスクワと違い、治安もいいし、街の雰囲気が違う。
 最も古いアレクサンドロスキー劇場で国立バレエ団の”白鳥の湖”が1500円くらいで見れた。前日行って直接窓口で購入できる。世界的に有名なエルミタージュ美術館も国際学生証で無料になる。地図を見ながらでも迷うほど大きく入り組んだ博物館、最低半日は必要。
ヨーロッパからも観光客は多い。西からは比較的入りやすいと聞く、しかし日数や行動が制限されること、高いことには代わりがない。

左、川沿いの美しいスパナス・ナ・クラービ聖堂。川を挟んだ向かいのレストランはロシア料理を手ごろな値段で昼のメニューで出している。右は”ビーフ・ストロガノフ”ストロガノフ男爵が急な来客に対応するために即席で作った料理と言われる。炒めた肉とサワークリームだけ、とてもシンプル。日本のハヤシライスのように色々混ぜない。ストロガノフ男爵の宮殿は今でもサンクトペテルブルグに残る。
 ネクラソフ通りにボリショイ人形劇場があり、その上にユースホステルがある。町に近く、宿泊すると人形劇が無料で見れる。その目の前にウズベキスタン料理屋があった。夜にはベリーダンスが踊られる。ロシアではなくアラブ文化圏の香りがする。水パイプも吸えるが、様々なアラブのお茶が飲める。左写真はフルーツのお茶、ポットの中にフルーツが沢山入っている。
 右はラグーンメン、中国のウイグル料理店でもよく食べた、中央アジアで最も庶民的な料理と言えよう。ケチャップとサワークリームがよくきいていて、東の風味がした。なかなかウズベクに行く機会もないので、ロシアで食べてみるものいい経験だ。
 ロシアは大麦と黒パンの国だ。黒パンには独特の酸味があり、最初は食べにくいが、すばらしく日持ちがすることをシベリア鉄道で毎日食べて学んだ。この黒パンから作る、クバッという発酵飲料がある。アルコール度はない、少し甘みと薬のような独特のくせがあり。ペットボトル入りも売られているが、今のロシアの若者はコーラの方を好む。このクバックを使った冷たいスープNARYAというのもある。スペイン・ガスパチョとは違った独特の酸味がある。少し日本人の口にはあわないだろう。。
右写真、スパナス聖堂の斜め向かい高級レストラン”サンクトペテルブルグ”伝統的な料理と9時からショーを見せてくれる。おきまりのコサック・ダンス。コーヒーとデザートだけでショーを見てもOK。

 ロシア人の伝統的な食べ物はライ麦からつくられた黒パン、カーシャとよばれる粥(かゆ)、ボルシチなどのスープに代表され、飲み物は麦芽飲料のクワスと蒸留酒のウォッカがかかせない。チョウザメの卵であるキャビアがロシア料理にくわわったのは、16世紀の後半にボルガ川下流域を領土としてからである。宮廷料理は17世紀のころからはじまり、18世紀にはフランス料理が積極的にとりいれられた。しかし、伝統的なロシア料理に対する嗜好(しこう)はかわらず、国土の拡大にともなっていろいろな民族料理をとりこみながら独特のものをつくりだしてきた。

 ロシア料理は地方によってかなりことなる。南部は野菜や果物が豊富であるが、ほかの地域全体では生野菜がとぼしい。したがって、野菜やキノコ、魚貝類の加工貯蔵品(塩漬け、酢漬け、燻製など)が発達し、料理にもよく利用されている。さむく長い冬に適合した各種の煮込み料理を発展させ、サモワールという湯沸器をもちいて熱い紅茶をジャムとともに何杯ものむといった食文化がみられる。

ロシア料理のコースの一般的なメニューは前菜のザクースカ、スープ、肉あるいは魚料理、デザート、紅茶とジャムである。

Microsoft(R) Encarta(R) 引用

こうして、北京よりシベリア8000km鉄道の旅は終わった。いざ、ヨーロッパへ

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